マスク不足、ワクチン不足、その先は何不足?

投稿者:minoru61

マスク不足、ワクチン不足、その先は何不足?

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コロナ禍でいろんなものが品不足に直面しました。最初はマスクでした。マスクの影響でトイレットペーパーまで不足しておりました。今は、ドラッグストアやスパーにいくと簡単に手が入ります。そしていろんな会社がマスクが余っているために、差別化をしようとしてます。JIS適合マスクなどと言って売り始めました。品質の悪いマスクが一時的に発生したとかで、基準満たすマスクということで差別化しています。

次にワクチン不足が世界的に騒がれました。日本でも若者にはまだ行き渡らないということで、接種会場に行列ができるほどワクチン不足が続いております。世界的には先進国が優先しているということで批判まで受けました。ワクチン不足は徐々に解決しておりますが、世界全体に行き渡るまでまだまだ時間がかかりそうです。

コロナ禍でもう一つ不足しているものがあります。それは半導体です。なんで、コロナ禍で半導体が関係あるの?と考える人がいるかもしれません。マスクやワクチンはコロナと直接関係があるのですぐに頭に浮かぶと思いますが、半導体は浮かびません。また、浮かんだとしても、半導体を直接、つけたり、うったりするわけではないので消費者にはその影響度がわかりません。その影響度を本日は話します。

半導体不足は意外と根が深い

昨年(2020年)4月から私はとある企業の情報システム部を任されておりました。それまでは事業部門でソフトウェアを販売する側だったので、この1年間の経験は私にとって何者にも変え難いものになりました。2020年4月にシステム部長に就任する前に、1年ほど事業部をやりながらシステム部を兼務で見ておりましたが、その間にネットワークの再構築をしていました。最近はクラウドではSDN(Software Defined Network)と言って、ネットワークをソフトウェアによって自由にネットワークを作れるようになりました。(ここを詳しく話していると長くなるので、そういうものだと思ってください)

企業内でも、SD-WAN(Software Defined Wide Area Network)というのが流行っておりましたので、2019年度からネットワークの構築をやっておりましたが、2020年4月に緊急事態宣言が発令されたため、SD-WANを急遽、ゼロトラストネットワーク(これも長くなるので、別途説明します)の構築に切り替えて、社員が会社に来なくてもセキュリティが確保できるようなネットワークを構築していました。2020年度はそのネットワークをグループ会社などに展開をして、本社でも、グループ会社の事務所でも、ソフトウェアで設定を変えることで、自分が参加できるLANが構築できる環境を作りました。

そして、ゼロトラストによりセキュリティが十分に確保できることで、PCのBYOD化を会社として推進してきました。しかし、なかなか全てのPCをBYODにすることも難しく、希望する社員だけにBYODを許可し、それ以外は会社でPCを支給することにしておりました。2020年4月ごろから、PCのメーカーから在庫が少ないなどの話がありました。そうです。コロナ禍の中でまずはPCの需要が増えたのです。

これはまずいと気づき、2021年度の新人のPCを調達する時に、社内の古いPCも入れ替えも含めて、2020年の11月ごろから、メーカー選定をしておりました。2社に見積もりを依頼していたところ、1社からは全く音沙汰がなくなりました。もう一方は、以前からの付き合いもあったので、見積もりを取ることができました。しかし、そのPCメーカーからは1ヶ月以上かかると言われたのです。もう一社も見積もりをもらって比較したかったのですが、その暇もなく1社目のメーカーに発注せざるを得ませんでした。その原因は半導体不足の影響だったのです。

Play Station 5(PS5)が手に入らないらしい

話は変わりますが、そういう話をしていたときに、長男がPlay Stationが手に入らないと大騒ぎしておりました。それから知ったのですが、ソニーはPlay Station 5を昨年の11月に販売開始しておりました。長男に話をしたのは、3月ごろでしたので、5ヶ月も需要があるにも関わらず販売ができていないという状態でした。そして、その問題も半導体不足にあることに気づきました。

そこから半導体について色々調べてみましたが、半導体は2種類に別れており、高度な技術を必要とする高級な半導体と一般的なメモリなどのような低価格の半導体です。高級半導体はほとんどが台湾で製造されており、安価な半導体は中国などで製造されておりました。実はこの両方の半導体が同時に不足をしていました。

台湾といえばAppleのM1シリコンです。アップルは2020年11月にM1シリコン搭載のMacbookやMac miniが販売されました。インテルのCPUをやめて、全てARMベースのCPUに切り替えるという戦略に出ておりますが、このM1シリコンも台湾のTSMCで作られています。Appleは、設計だけをして製造は他社に任せる、いわゆるファブレスと呼ばれる製造工場を持たないビジネスモデルをしております。※AppleのM1についてはこちらを参考にしてください。

Appleのシリコンだけ不足するのであれば問題ないだろうと思っていたのですが、前述のソニーのPlay Station 5で作成している高機能のCPUも台湾のメーカー、それもほとんどがTSMCで製造されていることに気づきました。TSMCは高級半導体を製造する技術を持った世界ーのカンパニーです。

当のソニーは巣篭もり需要でゲームの販売が好調で、2020年3月期の決算は利益1兆円を達成しておりますが、「これは来年(2021年3月期)のソニーの決算は楽しみだね」と考えながらPS5の販売がいつ開始されるのかを注意深くみていたところ、今月(2021年9月)にやっと、ソニーストアで抽選開始という記事を見つけました。なんと、6ヶ月もの間、販売はおろか、購入する権利を獲得するための抽選も止まっていたのです。

この間にいろんなことが起きました。米国の連邦政府が、TSMCを初め、米国の半導体関連企業を呼んで、これは経済的には相当のリスクだということで、半導体不足を解決するための方法を協議しました。

米政権、12日に企業トップと会合-インフラや半導体を協議へ (訂正)

ここにはフォードやゼネラルモーターズ(GM)などの自動車企業も招かれております。今や電気自動車や自動運転車を目指している自動車産業は半導体の塊が動いているようなものです。つまり、PCやスマホなどのような端末だけではなく、自動車、ネットワーク機器などありとあらゆるものに半導体が使われております。前述のソニーも実は自動車を設計しているのです。設計と言っているのは、電気自動車のプロトタイプ「VISION-S Prototype」を作っておりますが、ソニーは自社が開発する半導体であるCMOSイメージセンサーの開発をするために自ら自動車を設計して実験すると言っており、自動車をソニーが販売するかどうかはわかりません。

ソニーの電気自動車「VISION-S Prototype」国内初の一般公開

ある意味、ソニーは自動車の部品会社として手を上げるために、Appleが推進してきた垂直統合ビジネスを同じ経験を積むことで、部品の制度を上げることを考えていると思います。

上流から下流まで様々な半導体関連会社が影響している

自動車業界はこれから電気自動車や自動運転車など高い精度を必要とする半導体が必要になってきております。5Gを推進している通信会社も半導体不足に直面するでしょう。アップルは半導体不足の影響で一時株価を下げましたが、9月の新製品の販売に向けて再び過去最高の株価レベルに上がってきております。

iPhoneにも半導体不足の波 Apple、7~9月の成長減速

ソニーはPS5など、半導体不足の影響を直接受けております。もしも、半導体不足でなかったら、どれだけの利益を稼いでいたのか、本当に楽しみになります。

また、半導体不足は半導体メーカーだけの問題ではないです。味の素など半導体の絶縁材メーカーなども半導体需要の高まりで供給がまに合わない状態になっております。

味の素、ギョーザだけじゃない 半導体材料でもう一つの「金メダル」

現在の半導体はより小さくより多くの回路を実装するために、微細化だけではなく、多重構造になっているそうで、絶縁材の品質が直接半導体の製造に影響してくるようです。

もちろん製造装置メーカーや半導体検査装置のメーカーなど、自動車と同じく非常に複雑なバリューチェーンが既に出来上がっているので、この影響は続くと思います。

情報システム部も影響は受ける

もちろん、情報システム部門の方も影響を受けるでしょう。PCの調達だけではありません。サーバーのコストも上がるものと考えております。大手クラウドベンダーはハードウェアをメーカーから調達せずに、部品を購入して自作しているところが多いです。そのため、部品が調達できないと需要が供給を上回りコストが上がることが予想されます。それでは、オンプレに戻すか?ということを考える人もいるかもしれませんが、サーバーを作るメーカーも半導体不足により、価格を上げてくるでしょう。そして、この傾向はこれからも続くと思います。

業界の動向を注視して早めに対応をしていきましょう。

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